S-6-4 経済発展に伴う資源消費増大に起因する温室効果ガス排出の抑制に関する研究

2050年までに温室効果ガス排出量世界半減という目標を実現するためには、世界人口の半分以上、 温室効果ガス排出量の半分以上のシェアを占めると言われているアジア地域において低炭素社会を実現する方策を検討することが不可欠である。 本研究は、先進国が歩んできたエネルギー・資源浪費型発展パスの途を繰り返すのではなく、生活レベルを向上させながらも、 低炭素排出、低資源消費の社会に移行する方策について検討し、その発展パスを描くための研究プロジェクトの一環として、 資源生産性の向上や資源の循環的利用に着目した低炭素社会の構築のための研究を行う。

本課題は、(1)「物質フロー・ストックに着目した低炭素化ポテンシャルの評価手法の開発」、 (2)「温室効果ガス排出削減ポテンシャル算定のための物質フロー・ストックモデルの構築」 (3)「技術変化を考慮した金属資源の長期需要と温暖化対策との交互作用の解明」 (4)「社会基盤整備の進展に伴う資源・エネルギー需要予測と低減方策」の4つのサブテーマから構成される。 このうち、サブテーマ(1)~(3)では、資源の循環的利用や効率的利用による温室効果ガス排出削減効果を定量化するための評価手法を構築し、 サブテーマ(4)では、資源需要にとくに大きな影響を及ぼす社会基盤整備に着目し、 資源需要量およびこれに伴う温室効果ガス排出予測と低減策に関する研究を行う。 本サブテーマでは、資源の循環的・効率的利用による温室効果ガス排出削減効果を定量化するため、 物質フロー分析、産業連関分析、ライフサイクルアセスメント等による情報基盤整備手法とシステム分析手法を確立するとともに、 これをわが国およびアジア諸国に適用し、排出削減ポテンシャルを明らかにする。とくに、財の寿命に着目し、 社会基盤、生産設備、耐久消費財、消費財の4分野について、資源需要と温室効果ガス排出の構造的関係を定式化し、 資源回収・循環利用率の向上、生産時の資源消費量低減・素材代替などによる排出削減効果を推計する。 これを物質フロー・ストックモデルや勘定表の作成実務を分担するサブテーマ(2)と緊密に連携して実施する。

チームリーダー

  森口 祐一 (もりぐち ゆういち)