プロジェクトの概要

今後、世界のCO2排出の多くはアジアの開発途上国において生じると見込まれる。 2050年までに温室効果ガス排出量世界半減という目標を実現するためには、アジア地域において、 先進国が歩んできたエネルギー・資源浪費型発展パスを繰り返すのではなく、経済発展により生活レベルを向上させながらも、 低炭素排出、低資源消費の社会に移行させる方策を検討し、そこに至る道筋を提示する必要がある。

本プロジェクトは、低炭素社会の実現に向けた研究の第一線で活躍する国内外の研究者の知見を総合し、 (1)アジアにおける低炭素社会の実現に向けた統合シナリオの開発、(2)アジア地域の低炭素発展の可能性とその評価を行うための基礎分析調査研究、 (3)アジア低炭素社会実現に向けた中長期国際・国内制度設計オプションとその形成過程の研究、 (4)経済発展に伴う資源増大に起因する温室効果ガス排出の抑制に関する研究、 (5)アジアにおける低炭素交通システム実現方策に関する研究、という5つの視点から2050年までを見越した アジア各国・地域の低炭素社会構築のための道筋を包括的、かつ定量的に提示するための研究を行っている。 上記5つの課題を取り組むにあたり、まず、アジア発展シナリオを裏付ける知見を整理し、削減目標の設定を行う。 次に、叙述的発展シナリオを作成し共有する。共有される叙述シナリオを基礎に低炭素社会の実現に向けた将来像を詳細に描く。 また、シナリオ分析に必要な、資源・循環施策や低炭素交通施策などに係る施策パッケージの提案や、 低炭素シナリオ実現を駆動する制度設計を行うとともに、施策実施可能性の分析を行う。 これらの成果を、統合モデルのパラメータに翻訳し、テーマ間の整合性も確認しながら定量的分析を行う。 これにより、想定される経済・社会の多様な進展シナリオ下において、 アジア諸国を、多面的な側面から総合的に低炭素社会へ誘導する政策オプションと、その実現のためのロードマップを策定・提案する。

本研究は、その研究成果を社会実装していくために、研究会合や、政策対話、学会発表、報告書等を通じ、 アジアの低炭素社会作りに影響力のある関係者を巻き込み、科学的知見に基づいた低炭素社会実現への道筋を社会実装していくための政策支援、 普及啓発活動も併せて行う。

研究チームの概要

1. アジア各国・地域を対象とした低炭素社会実現のためのシナリオ開発

2. アジア地域の低炭素発展の可能性とその評価を行うための基礎分析調査研究

3. アジア低炭素社会実現へ向けた中長期国際・国内制度設計オプションとその形成過程の研究

4. 経済発展に伴う資源消費増大に起因する温室効果ガス排出の抑制に関する研究

5. アジアにおける低炭素交通システム実現方策に関する研究

プロジェクトリーダー

甲斐沼 美紀子 (かいぬま みきこ)

脱温暖化社会に向けた対策の統合評価プロジェクトリーダー
(独)国立環境研究所・社会環境システム研究センター
フェロー

京都大学工学部卒業。工学博士。1990年より温暖化政策評価のための統合評価モデル(AIM)の開発に従事。 アジア地域の研究機関と共同してAIMモデルを用いたアジアの温室効果ガス排出削減シナリオの構築や 環境保全と経済発展温暖化対策としての緩和策と適応策の両面を考慮に入れた政策の評価などを実施。 IPCC第4次評価報告書、UNEP・GEO4の主執筆者。

プロジェクト幹事

藤野 純一 (ふじの じゅんいち)

(独)国立環境研究所・社会環境システム研究センター
持続可能社会システム研究室 主任研究員

2000年東京大学卒 工学博士。北陸先端科学技術大学院大学 客員准教授、東京理科大学 非常勤講師を併任。

専門分野:エネルギー環境システム工学、エネルギー環境経済モデル分析。主な編著書:「バイオエネルギー」ミオシン出版。

2000年4月よりAIMの活動に参加。主にアジアや世界を対象とした多地域モデル構築に携わり、 長期を見据えた温室効果ガス排出削減効果や地域間貿易の環境影響などを分析している。 「脱温暖化2050」ではシナリオチームの一員として2050年シナリオ構築を行いながら、 プロジェクトリーダーを補佐しプロジェクト全体の調整機能を担っている。

アドバイザリボード

廣野 良吉 (ひろの りょうきち)
  河合 正弘 (かわい まさひろ)
  李 志東 (り じいどん)
  西岡 秀三 (にしおか しゅうぞう)