S-6-5 アジアにおける低炭素交通システム実現方策に関する研究
今後人口増加と経済発展によってCO2排出量の急増が見込まれるアジア地域を対象に、 特に増加が顕著であると予想される運輸部門について、いかなる対策が必要であるかを総合的に検討し、 経済発展を阻害することなく低炭素交通システムを長期的に実現するためのロードマップを バックキャスティングアプローチに基づいて提示する。そのために、アジア各国や大都市圏における 運輸部門CO2排出の現状やそれが決定されるメカニズムを定量的に明らかにし、 それに基づく具体的な低炭素交通システムの提示とその実現にむけた政策の方向性を示す。
具体的には、1)対象国・大都市圏における運輸部門CO2排出関連データのインベントリの作成し、 2)将来の運輸部門CO2排出動向に関する基礎的分析を行い、3)日本における経験をアジア途上国に生かすための、 運輸部門CO2排出の推移とその要因に関する分析、4)将来シナリオに基づく各国のCO2必要削減量を達成する要件の把握、 5)既存のベストプラクティスに基づく低炭素交通システムの具体的なデザインの提示、 6)低炭素交通システム実現のための国際的支援枠組みの検討を行う。 なお、政策検討にあたっては、後発となる途上国ならではのリープフロッグ的施策の提案や、 交通行動を長期的に規定する土地利用システムの検討、 および施策実施を支えうる税制や規制の在り方などについても検討を行う。
さらに、具体的な交通システム改変策について、その長期的なCO2排出削減効果を ライフサイクルアセスメントを用いて推計する手法を構築する。 それとともに、有効と判断される施策を実際に導入していくために必要な制度枠組みを検討し、 CDMに代わる新たな制度の提案を目指す。また、運輸部門のうちCO2排出量把握やその削減策検討が遅れている一方、 アジアで著しい増加が予想される、物流や航空の分野を対象としてCO2排出削減策検討を行う。 その結果、低炭素型インターモーダル型物流システムや長距離旅客交通システムの提案が行われることが期待される。
チームリーダー
林 良嗣 (はやし よしつぐ) |
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